ネオン・タフ トニー・ケンリック
 上田公子 訳 角川文庫

 ★米国司法省麻薬取締局捜査官ヒュー・デッカーは囮捜査を失敗し、エディ・フォンというチンピラに1万ドルを奪われてしまった。
怒り心頭の上司に香港出張を命じられたヒュー・デッカーはその地で猟奇殺人事件、麻薬売買、香港の中国返還にかんする陰謀に巻き込まれていく。
ヒュー・デッカーは香港の仲間と共に旺角(モンコク)の撞球場でスヌーカーをしているエディ・フォンを見つける。
デッカーとその仲間は撞球場で大暴れ。(p.133)
本書によると香港のやくざのほとんどは玉突きの名人を自任しているそうである。
ハリーを探せ リチャード・ホイト
 浅倉久志 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫

 ハリー とは記事をねたに企業を強請る記者の隠語のこと。
探偵ジョン・デストンは伝統ある新聞社社長からハリーを探し出すべく、潜入捜査を依頼された。
 ハリーは同僚となった女性記者シェイにビリヤードを誘われる。(p.53)
「負ける気はしないよ」となめていたら、彼女はマイキューを持ってきた。
シェイはメチャうま!あっという間にハリーは4タテをくらってしまった。(p.58)
その後ハリー とシェイは恋人の関係になります。
千年紀の墓標 トム・クランシー マーティン・グリーンバーク
 棚橋 志行 訳 二見文庫

 エリツイン大統領急死後のロシアは深刻な農作物の不作に悩まされており、アメリカに援助を求めていた。
これを不服とするロシア右翼派は1999年12月31日マンハッタンに爆弾無差別テロを仕掛ける。
 この小説でテロリストと戦うのは世界的企業アップリング社の経営者ロジャー・ゴーディアン率いる<剣>(ソード)と呼ばれる企業内スーパー保安部隊である。
しかし、一企業がこのような軍事組織を持つとは・・・(ゴジラ対キングギドラでは核弾頭を持つ日本企業が出てきたが)
 さて、ビリヤード場面。<剣>(ソード)の保安部長のピーター・ナイメクは自分の住む高級アパートメント内の複合施設に彼が十代の頃通ったファラデルフィラのビリヤード場を再現した!(p.221)
 ナイメクは8番ボールに特別拘っており、それを最初に突くことが彼のおまじないであり、リラクゼーションでもあった。
南シナ海緊急出撃 トム・クランシー マーティン・グリーンバーク
 棚橋 志行 訳 二見文庫

 南シナ海で貨物船が海賊に教われた。アップリンク社の<剣>(ソード)出動。
 ナイメク今回はノリコと例の高級アパートメント内の複合施設でビリヤードをお楽しみ。(p.271)
ナイメクの話によると彼の父親はフィラデルフィアで最高のハスラーだったそう。父はナイメクにもハスラーになってほしかったそうだ。その後ナイメクは警察官になるが、ビリヤードの腕は父親譲り。(p.273)
死への旅立ち (ウェストレイクの犯罪学講座に収録) ドナルド・E・ウェストレイク
 小鷹 信光編 ハヤカワ文庫

 沈没してしまった客船のビリヤード室に閉じ込められた男二人。
除々になくなる酸素、それ以前に襲ってくる飢餓感。食べる物といえば・・・
最後はちょっとカリバニズム。
 ここでもキューが凶器となってます。
口から刺し、後頭部と貫通。みんな撞球格闘術 撞球拳を知っているんだなぁ。
反重力ビリヤード (アシモフのミステリ世界に収録) アイザック・アシモフ
 深町 眞理子 訳 ハヤカワ文庫

 プリス教授とブルーム教授はライバルであり同時にビリヤード仲間でもあった。
両教授は反重力に関する理論で対立し、公開実験を行うことになった。
なぜかビリヤードテーブルの中央に無重力場をつくり(?)そこにプリス教授が玉を突き込む。
無重力場に入った玉はどのような動きをするのか?
 結果から言うと無重力場に入ったビリヤードの玉は光速の動きをし、ブルーム教授の体と窓ガラスを突き抜けてしまった。
なぜ光速の動きをするのか、本には書いてあるがよくわからん。
なんでも無機質のもの(中性子や光子)は光速で動くしかないらしい。おまけに銀河系の動きも関係するらしい。
わしがわかるのは算数と理科まで!数学や物理化学はさっぱりわからん。
まぁ、わしら無重力場で玉突く時は気をつけましょう。
真夜中のビリヤード (五つの標的に収録) 山田 正紀
 光風社文庫

 深夜、店の親父すら帰ってしまった南青山のビリヤード場。裕二と氷川の二人が四つ玉をしていると、腹を刺された男が入ってきた。そして氷川達にここで待ち合わせている女に伝言を頼み、雨の町に出ていく。この時から氷川達はスパイゲームに巻きこまれ始めた。
 ソビエトの核ミサイル配備情報の受け渡し場所がビリヤード場だったため、裕二と氷川がスパイに追われるわけだけど、なんでビリヤード場なの?「わたしたちはビリヤードの玉なのよ。だれかにキューで突かれれば、それでおしまいなんだわ。わたしたちはいつだって危険なの・・・だから情報の受けわたし場所に、あのビリヤード場を選んだのよ」
って迷惑じゃ!居酒屋とか寿司屋にせいっ!
笑わない数学者 森 博嗣
講談社

 三ツ星館で起こった殺人事件を犀川創平 西之園萌絵のコンビが解決する。
 この事件の舞台となった三ツ星館のホールにポケットと四つ玉の台があり、登場人物が暇つぶしに玉を撞いている。
お嬢様大学生の萌絵ちゃん(小説の中では探偵の助手的存在)はトーナメントで準優勝の経験があることが判明(たぶんキャロム)
萌絵ちゃん曰く「ビリヤードは腕じゃありません。目です」
また謎の天才数学者から「五つのビリヤードの玉を、真珠のネックレスのように、リングにつなげてみるとしよう。玉には、それぞれナンバーが書いてあるな。さて、この五つの玉のうち、幾つ取っても良いが、隣りどうし連続したものしか取れないとしよう。一つでも、二つでも、五つ全部でも良い。しかし、離れているものは取れない。この条件で取った玉のナンバーを足し合わせて、1から21までのすべての数ができるようにしたい。さあ、どのナンバーの玉をどのように並べて、ネックレスを作れば良いかな?」という問題だされる。う〜ん難しい。解答は?と思ったが、これが載っていないんですわ!トンチつかったら出来た。たぶん正解じゃないだろうけど・・・
夢暦 長崎奉行 市川 森一
光文社文庫

 文化九年、長崎奉行に任命された遠山佐衛門尉景晋とその息子金四郎(後の遠山の金さん!)の物語。
 第1部は放蕩の限りを尽くした金四郎が人生をやり直すべく、父景晋と長崎に向い、薩摩の抜け荷事件や長崎の風習「嫁盗み」などに巻きこまれるまで。
 第2部はイギリス船シャルロッテ号を巡り、長崎奉行景晋を切腹に追いこみたい薩摩とそれを阻止すべく活躍する金四郎と仲間達。
 ビリヤードに関しては(P.127)金四郎が「書物屋」で「長崎古今集覧名勝図会」を見つけ、玉突きの図(石崎融思)に魅せられる。 そして(P.143)出島に向う父景晋に「どんな遊びなのか、教わってきて頂けませんでしょうか」と頼み、景晋は(P.152)出島でカピタンに玉突きを教わる。
エイト・ボールを夜明けまで (海辺のロンリー・ハート・ガールズに収録) 喜多嶋 隆
角川文庫

 ハワイのハイスクールを卒業し、ロス・アンゼルスに出発するマユミ。ハワイ最後の夜、ヴァージンを賭けてケンジとエイト・ボール。
 ケンジはマユミにずっと惚れてたんだよね。マユミもケンジが好きだったんだ。だからマユミ、ゲームボールをトバして・・・浜辺で・・・
ちっ!!面白くねぇ!
ビリヤード物語 (ブローティガンと彼女の黒いマフラー) 川西 蘭
トレヴィル

 僕がバーでビールを飲んでいると隣りに座った女がビリヤードに誘う。何を賭ける?と僕。じゃあ体をと彼女。
スリークッション勝負に勝った僕は彼女の部屋に行く・・・
 またしても女性の体を賭けた勝負。
「じゃあ体」簡単に言うなぁこのセリフ!!ああっ羨ましいっス!
あっ僕と彼女は結局最後まではいかなかったけど、もうどうでもいいスね。
後日マスターと僕がスリークッション勝負するけど、これもどうでもいいスね。
亡命詩人、雨に消ゆ ウィリアム・H・ハラハン
村上博基 訳 ハヤカワ文庫

 ある雨の日ソ連から亡命した詩人が拉致された。なぜ詩人を?移民帰化局のリアリィと元CIAのブルーワーが詩人の詩人救出にそれぞれ動き出す。
 ★元CIAのブルーワーはビリヤード場にいりびたり。てなわけでストーリーとは全く関係無く、ビリヤードの名人ウィリー・ウォーカーが出て来たり(p.72)、ストーリーとは全く関係無くウィリー・ウォーカーが14-1で150対1のハンディで水兵から金を巻きあげたり(p.213)、ストーリーとは全く関係無くウィリー・ウォーカーを破る14歳の女の子が出てきたり(p.247)。ストーリーとは全く関係無くウィリー・ウォーカー大活躍!拉致された詩人はどうなったんだっけ?
撞球室の7人 (「探偵」傑作選 幻の探偵雑誌 9に収録)
橋本 五郎 光文社

 撞球場である客がチョークを拾うためにかがんだ時、心臓を一突きで刺され殺された。
その時この部屋にいたのは男7人。閉ざされた空間での犯人探しと凶器消滅の謎・・・
 昭和6年の短編作品!時代が時代だから、作品中の警官がえばっていること、えばっていること。
それ以外に「十七歳の美しいゲーム取り」が出てきます。十七歳でっせ!
”ゲーム取り”はお客さんの点数を数える人。
エイトボール(風が見える瞳のままで 収録) 小林 蒼
ショコラノベルズ

 ショコラノベルズは耽美派小説というか、やおい小説というか、まぁ少女向けの美形ホモ小説です。
弘治(美男子・ホモ)は会社の上司であり、恋人である拓哉(二枚目・ホモ)にエイトボールの勝負を挑む。
弘治が勝てば今後拓哉のパートナーは自分だけ・・・。実力では相手にならない弘治はいきつけのプールバー「リスキーキャット」の専属プロアユキ(JPB所属・超美形ホモ)に相談する。アユキが弘治に授けた作戦はセフティーだった。
 同作家のシリーズ「100万ドルの赤いバラ」(ショコラノベルズ)ではアユキさんが主人公。オーナーの真弥(二枚目・ホモ)や「リスキーキャット」の従業員諒介(美少年・ホモ)が登場。
しかし従業員から常連までみんなそのケがある人ばかりというのもなぁ。
玉撞かずに * 突いとるぞ。
追跡者の血統 大沢在昌
角川文庫

 若者の失踪専門調査人佐々木公。ビリヤードそしてナンパの後に別れた親友沢部が突然失踪する。沢部の行方を調査する公に国際的組織の影が。
 佐々木公と親友沢部の共通の趣味はビリヤード。最初に二人が出会ったのも「R」というビリヤード場だった。
今日も一仕事終えた公が沢部と「R」でナインボールを楽しむが(センターポケットとサイドポケットがごっちゃになっているが)、どうもこれジャパンのようだ。それも点玉3・5・7・9
3番を落して点数を入れているし、4番と9番を同時に落して9番を上げたり、9番サイドで得点倍。ただし’2出し’はやっていない。
他の「佐々木公」シリーズでは「感傷の街角」で「R」のボーイにナインボールで八千円勝ったり、「炎が囁く」でちょこっとビリヤードしたり。「標的走路」では沢部と一回五千円のサシウマ。(ポケットかスリーかは不明)ちなみに沢部さんスリーもお得意。
「心では重すぎる」の裏表紙にはデビュー直後の著者のビリヤードやっている写真が・・・ハマってましたね。大沢先生。
 
素敵な彼と愛・舞・美 馬里邑れい
講談社X文庫

 愛は旭ケ丘高校ビリヤード部の一年生。両親は交通事故で亡くなったけど、パチプロの祖母未(ミー)と死んだパパの隠し子舞ちゃんの三人で明るく強く生きてます。三人合わせて愛・舞・美!そんな愛ちゃんの心ときめかすお相手は丸ノ内高校ビリヤード部の達彦くん。恋のライバル由香利と全国高校ビリヤード選手権決勝でガチンコ勝負!!
 講談社X文庫は女子中高生がターゲットの文庫。蟻がたかるぐらい甘〜いラブロマンス。
1988年の作品。「ハスラー2」のブームの頃ね。これ読んでビリヤードにハマって女子プロになった人います?いませんよね。
ビリヤードわくわく亭 (ビリヤードわくわく亭に収録) 森岡久元
澪標

 以前休刊になったフュージョンフリーマガジンに連載されていた連作短編。そのときは著者名は「大泉親次」だったが。
大泉学園のわくわく亭という架空のビリヤード場に集う人々を描いているが、ビリヤードをしている描写はほとんどなし。
登場人物にロリコン、ストーカー、不幸のメール女など屈折した方多し。ビリヤード場版「ワインズバーグ・オハイオ」といったところでしょうか。
森岡久元という著者名、どっかで聞いたことがあるなと思ったら、大田南畝の事調べているとき、この著者の「崎陽忘れじがたく」という本を購入したなぁ。大田南畝の晩年を書いた小説だったのであまり資料にはならなかったケド。
それにしても博識多才な人である。
おしおきされちゃう 森本あき
ラヴァーズ文庫

 またしても耽美派小説。
亮のクラスにダイが転校してきた。ビリヤード超ウマ!プロを目指している亮はダイにビリヤードを習うが、ゲームに負けるたびダイのおしおき(デコピン)が・・
これで亮が上達して大会で優勝すりゃ〜スポーツ青春小説ですよ。でもねコレ耽美派小説なので、デコピンがキスになって、乳首いぢりになって、最後は当然超えてはいけない一線を。ズボッ!うわぁあああ・・・
 いや別にいいんですけどね。耽美派小説読んだみなさん、ビリヤードやる人カッコイイ人多いと勘違いしません?
全然いませんからね、カッコイイ人。ひとつ上の小説みたいに変な人ばっかですからね。